World Wide Webコンソーシアム（W3C）は、2021年1月にW3Cコンテンツアクセシビリティガイドライン（WCAG）3.0の草案のファーストバージョンを公開しました。

ガイドラインは大幅に再構築されており、その中核となるのは多様な認知能力や障害など、より多くのニーズをサポートするガイドラインを作成するための基本的な推進力となります。新しいガイドラインは、特定のタイプのアクセシビリティをより適切に測定するための新しい評価基準にも焦点が当てられています。

WCAG標準とは？

WCAG3.0ガイドラインのページで説明されていますが、新しいガイドラインは、障害を持つユーザーがウェブサイトを利用しやすくするための幅広い推奨事項を提供しています。

• 感覚障害や認知障害、学習障害など、幅広いニーズ
• デスクトップ、ノートPC、タブレット、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイスなど、障害者支援技術で使用されている幅広いデバイスを網羅
• インタラクティブコンテンツ、視覚および聴覚メディア、バーチャルリアリティなどのより多様なタイプのコンテンツを網羅
• CMS、オーサリングツール、Siteimprove Accessibilityなどのテストツールなどの関連するウェブツール

WCAG3.0とそれ以前のバージョンとの主な違いは？

以前のバージョンのWCAGは、WCAG3.0とは大きく異なります。新しいガイドラインはウェブコンテンツだけに適用されるものではありません。以前のバージョンとWCAG3.0との違いにおいて、注意すべき点は以下になります。

• WCAG3.0はWCAG2.0、2.1、または2.2との下位互換性がない
• WCAG3.0は、WCAG2.2およびそれ以前のバージョンにとって変わるものではない
• 以前のバージョンでよく認識されていた「A、AA、AAA」レベルは使用されていない
• アクセシビリティをテストするさまざまな方法が追加されており、単純に○か×での評価ではない

WCAG3.0の新機能は？

新しいガイドラインは、以前のバージョンとは異なっていますが、では、その新機能はなんでしょうか。W3CのWCAG3.0ガイドラインのページによると、以下のようになっています。

測定可能なガイドライン

これまでのところ、WCAG3.0の出発点として作成された新しいガイドラインは5つです。それぞれ独自に測定可能な項目となっています。

• 代替テキスト
• 誰でも理解可能な明確な言葉
• キャプション
• 構造化されたコンテンツ
• テキストの視覚的コントラスト

メソッド

各ガイドラインは、詳細な技術的説明、作業コードサンプル、および詳細な事例で構成されています。メソッドには3つのタイプがあります。

• すべてのテクノロジーに適用される方法
• テクノロジー固有のもの（HTML、PDF、VRなどのテクノロジー固有のもの）
• フォールバック（新しいテクノロジーまたは独自のテクノロジーに適用されるメソッド、およびメソッドがまだ記述されていないテクノロジーに適用されるメソッド）

テスト

アクセシビリティガイドラインのテストはより広範になり、たとえば動的または頻繁に更新されるコンテンツのより良いテストを確実にするための新しいテスト方法なども含まれています。支援技術テストとユーザーテストを含むより包括的な方法もあります。テストには2種類あります。

• コンテンツのアクセシビリティを自動または手動で評価する
• ユーザーエクスペリエンスを評価する包括的なテスト

スコアリング

ガイドラインは測定可能であることが求められるため、単一テストと包括的テストのスコアリングは、さまざまなスコアリング方法をカバーしています。

• 一元的ではない複合的な適合・不適合判定
• 評価尺度
• 複数の項目からなるルーブリック
• パーセンテージ評価

新しい適合レベル

レベルA、AA、AAAは、チームが継続的に改善することを奨励するように設計された新しい適合性評価に置き換えられます。新しい適合レベルは以下の通りです。

• ブロンズ
• シルバー
• ゴールド

ガイドライン策定に取り組む専門家

W3Cシルバータスクフォースは、政府、教育、非営利団体、自動テストツールプロバイダーおよび手動テストやアクセシビリティコンサルティング機関など、さまざまな分野から世界的なアクセシビリティの専門家が集結しています。

4年間のプロジェクトを手動するシルバータスクフォースおよびコミュニティワーキンググループには、日常業務のガイドラインを実践および遵守する主な役割を代表する実践担当者が存在しています。デザイナー、開発者、コンテンツ制作者、プロジェクトマネージャ、アクセシビリティ専門家などです。

WCAG3.0発効時期

WCAG3.0はまだファーストドラフトの段階であり、完成するまでに数年を要します。今のところは2021年夏にリリース予定のWCAG2.2に注目すると良いでしょう。