GoogleがChromeにおける3rd Party Cookieの排除を発表【発表内容や影響について詳しく解説】

最近何かと話題の3rd Party Cookieという言葉。ネットビジネスに興味がある人なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?ただ、それと同時に「そもそも3rd Party Cookieって何?」「GoogleがChromeにおいて3rd Party Cookieのサポートの終了を発表したけど、何か影響はあるの?」こういう疑問をお持ちの方も多いかと思います。ということで、本記事では3rd Party CookieとGoogleのサポート終了について詳しく解説していきます。

そもそも3rd Party Cookieとは?

まずは3rd Party Cookieとは何かについてみていきましょう。3rd Party Cookieとは、現在訪問しているサイト以外から発行されたCookieのことです。 ユーザーがそのサイトを閲覧しているページに関する情報の一時保存の機能があり、閲覧情報を複数のサイト間で保持する際に利用されます。具体的には、前に閲覧したサイトでの行動の履歴を、複数のサイトで共有するのです。例えば、Aさんがサイト1でバスケについての情報を閲覧した後にサイト2を訪れた場合、サイト2に「この人は前のサイトでバスケについてのページを閲覧していた」という情報が渡されます。

このような3rd Party Cookieですが、その機能を活かして、ウェブ広告の配信を最適化するために利用されてきました。情報を一時的に保持する機能を利用し、ユーザーが興味のある広告を表示することができます。 ざっくりとした例ですが、Aさんが野菜についての情報を閲覧していた場合、3rd Party Cookieで野菜についての情報を閲覧したという情報を保持し、Aさんが他に訪れたサイトで野菜に関連した広告を表示するのです。 これにより、費用対効果の高い、ユーザーが興味を持ちやすい広告の配信がなされてきました。

Googleが2020年1月に「Chromeの3rd Party Cookieのサポートを2年後に終了する」と発表。その内容とは?

Googleの発表内容

ウェブ広告の配信に利用されてきた3rd Party Cookieですが、2020年1月、Googleが、現在(2021年5月現在)の世界的ブラウザシェアトップであるChromeにおけるサポートを終了すると発表しました。Googleの発表によると、2022年までに段階的に3rd Party Cookieのサポートを終了していくとのこと。そのため、2022年時点のどこかで3rd Party Cookieの機能は使えなくなってしまいます。

GoogleがChromeの3rd Party Cookieのサポート終了に乗り出した理由

なぜGoogleがサポートを終了することにしたかですが、それはプライバシー保護が理由です。上記でも書いた通り、3rd Party Cookieはユーザー行動の追跡に利用されます。この情報の収集や3rd Party Cookieで保持する情報(ユーザーが閲覧しているデバイスの種類やブラウザの種類、OSや画面解像度などの総合的な情報)自体がそれは個人情報とも言えるのでは?という懸念が広がりました。 ネットを閲覧する中で、もし3rd Party Cookie が発行されているウェブサイトを訪れた場合、複数のサイトでこういったユーザーのデバイス環境や行動が共有されることになります。EU圏内で施行されているGDPRのCookie Policyが代表的な例ですが、近年ではネット上のプライバシーを保護する声が世界で高まっています。そうした状況などを考慮して、GoogleはChromeの3rd Party Cookieのサポートを終了することにしたようです。

Google Chromeの3rd Party Cookie終了後の影響

上記の通り、 3rd Party Cookieのサポートは終了されることがGoogleからアナウンスされていますが、どのような影響があるのでしょうか。

現時点では以下の懸念が考えられます。 ・Web広告の配信効率が悪くなるのでは? ・代替技術が台頭するのでは? それぞれ紐解いていきましょう。

ウェブ広告の配信効率が悪くなるのでは?

まずは、ウェブ広告の配信効率が悪くなることが考えられます。 上記で書いた通り、ウェブ広告は3rd Party Cookieを利用することで、ニーズのある人に適切な広告を出し分けるといった最適化を図ってきました。ですが、Chromeにおいて3rd Party Cookieのサポートが終了となれば、ユーザーの閲覧情報の取得が不可能になるため、ユーザーの興味情報を把握することができなくなり、従来のような広告配信は難しくなるでしょう。このことから、従来の方式でのウェブ広告では費用対効果はかなり落ちると考えられます。 また、広告を出稿する側だけではなく、媒体側にも影響が出ることが考えられます。広告配信の精度が落ちることで広告のクリック率も下がりますから、クリック型の課金形態を取る広告では利益が減る可能性があります。またアフィリエイト広告においてもさまざまな代替技術を検討したり導入しているものの、仕組み自体が成り立たなくなる可能性があります。「誰が、どのサイトから、何を購入したのか」ということも追跡できず、成果が把握できなくなってしまう懸念があるためです。

一方で、Googleも広告を提供している企業であり、代替手段を提案しています。「FLoC」という広告配信システムです。FLoCでは、似た興味を持ったユーザーを「コホート」と呼ばれる手段に分類し、その属性が持つと思われる興味に関連性の高い広告を表示させることが可能です。この手段であれば、ユーザーに訴求力のある広告を配信することが望めるとしています。Googleが行った実証実験によりますと、3rd Party Cookie利用時の95%の精度で広告配信ができたそうです。 この様に、3rd Party Cookieを使わない形での広告配信システムも開発されています。

代替技術の台頭?

3rd Party Cookieに頼らずとも、ユーザー行動をトラッキングする代替技術が広がったり開発されたりすることが考えられます。 こちらも昨今話題になった「ブラウザーフィンガープリント」といった、追跡されていることがユーザー側からわかりにくいトラッキング技術も以前から存在しており、こういった技術の台頭や、新しい技術が出てくることも否めません。

影響は未知数、動向を注視しよう

3rd Party Cookieのサポート終了による影響がどう出るのかは、継続的に動向を注視していく必要があります。今後のGoogleからのアナウンスや、ウェブ業界、特に広告配信ツールや技術の提供をしている企業の動向や発表を注意しながら観察していきましょう。

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