【パフォーマンスランキング】GoToトラベルキャンペーンによるアクセス増が期待!主要国内旅行11サイト:PC版 [2020年9月]

コロナ禍により旅行需要は激減。Gotoトラベルキャンペーンにより旅行サイトのアクセス増加が見込まれます。

2020年7月22日から一定期間限定で実施されている、官民一体型の地域活性化、需要喚起を目的としたキャンペーン「Gotoトラベル事業」の支援対象として、10月1日以降の出発分より、東京都に居住する方の旅行、東京都が目的地となっている旅行が含まれることになりました。

「Go To トラベルキャンペーン」と称する本事業は、旅行会社や旅行予約サイトなどを通じてキャンペーン期間中に国内旅行の予約をした場合に、その代金の最大2分の1に相当する金額が支援されるというものです。支援額の上限は、1泊1人あたり最大2万円分、日帰りは最大1万円分が予定されています。
開始当初は、旅行代金の最大35%に相当する金額が支援されてきましたが、10月1日以降は、さらに最大15%に相当する金額を、現地での飲食や観光施設、お土産を購入する際に使える「地域共通クーポン」として付与されることが決定されています。

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などの影響は、旅行需要を激減させ、地域の様々な産業に甚大な被害を与えてきました。
10月1日から出発・目的地として東京が追加されることにより、コロナ禍の事態収束後に地域を活性化するための需要喚起策とする「Go To キャンペーン」の効果の大きな伸びが期待されており、発表後の9月より各社サイトへのアクセスも増大していることが予測できます。

今回は、国内の主要旅行11サイトのトップページおよび商品一覧ページの表示時間を測定した結果を発表します。
PCサイトの平均値を算出し掲載します。(スマートフォンサイトの結果は別途算出し掲載予定です。)
測定は、2020年9月25日(金)14時から92810時までの約3日間にわたり実施しました。

「東武トップツアーズ」がトップページ表示速度1位に。 阪急交通社、エイチ・アイ・エスは早急なパフォーマンス対策が求められます。

トップページでは、「東武トップツアーズ」が、ページ表示速度1.40秒でトップとなりました。
続く2位は「楽天トラベル」の1.51秒、3位は「JTB」の1.58秒でした。
当社推奨表示速度2秒以内を達成したのは、ランキング5位の「名鉄観光サービス」までとなります。

表示速度と合わせ、パフォーマンス計測で重要な指標となる、ファーストビューの表示が完了した時間(Visually Complet値:webpagetest.org提唱)、画面操作(リンクやボタンのクリックなど)が可能となる時間(Dom Interactive値:W3C提唱)の計測も行いました。
今回、いずれの推奨値もクリアーしたサイトはありませんでした。しかしながら、表示コンテンツが豊富になりやすい旅行サイトの傾向を踏まえると、Visually Complete値は1.5秒以内、Dom Interactive値は1.0秒以内が、パフォーマンスを意識したサイトの目標値となりそうです。今回は、「東武トップツアーズ」、「楽天トラベル」、「JTB」の3サイトが合格といえるでしょう。

今回の測定では、「阪急交通社」と「エイチ・アイ・エス」に、ユーザ体験を大きく損なう定常的なパフォーマンス遅延がみられました。「阪急交通社」は、3つの指標全てで推奨値を大きく下回っており、フロントエンドのみならずサーバーサイド含めたパフォーマンス状況の一早い検証・改善が必要と言えます。「エイチ・アイ・エス」は、フロントエンドの処置に致命的なボトルネックを抱えていることがみて取れます。

下記は、表示速度の時系列パフォーマンスチャートです。両サイトは、表示速度の安定性にも欠け、平均表示速度にも影響を与えていることがわかります。

時系列パフォーマンスチャート(表示速度)
不安定なHISと阪急交通社の表示パフォーマンス [ 表示速度パフォーマンスチャート ]

2016年Google社より、『ページの読込に3秒以上かかるとサイト訪問者の53%が離脱する』(Google Analyticsより全世界モバイルサイトのサンプルデータを抽出し分析した結果)との発表がありました。それから4年、より高速表示が求められる中、「阪急交通社」と「エイチ・アイ・エス」のトップページでは、少なくとも半数のユーザが、表示速度を理由にツアーなどの商品ページを見ることなくサイトを離脱していると考えられます。

また、遅い印象を与えたサイトにユーザが戻るまでには時間がかかります。0.4秒遅くなっただけで7週間経過してもPVが戻らないといった分析結果(Oreilly社より)もあります。
早急な検証とパフォーマンス対策が必要です。

国内旅行PCサイト「トップページ」パフォーマンスランキング[2020年9月 計測結果]

国内旅行PCサイト「トップページ」のパフォーマンスランキング [2020年9月]
RANK

サービス名

表示速度
(秒)
Visually
Complete
(秒)

DOM
Interactive
(秒)

稼働率
(%)
1位 東武トップツアーズ 1.40 1.04 0.63 100
2位 楽天トラベル 1.51 1.16 0.47 100
3位 JTB 1.58 1.48 0.75 100
4位 近畿日本ツーリスト 1.72 1.68 0.86 100
5位 名鉄観光サービス 1.86 1.51 1.17 100
6位 じゃらん 2.32 2.30 1.05 100
7位 ジェイアール東海ツアーズ 2.61 2.30 0.24 100
8位 日本旅行 2.87 2.48 1.34 100
9位 JALパック 3.47 2.57 1.08 100
10位 阪急交通社 5.26 4.31 4.33 100
11位 エイチ・アイ・エス 7.89 1.81 0.57 100

 

<測定条件>
測定期間:2020年9月25日14時 〜 9月28日10時までの約3日間
測定頻度:60分に1回
測定デバイス:PC(Desktop)
測定拠点:Tokyo (ap-northeast-1):AWS

「名鉄観光サービス」が商品一覧ページ表示速度1位に。 阪急交通社は早急なパフォーマンス対策が求められます。

商品一覧ページでは、「名鉄観光サービス」が、ページ表示速度0.87秒でトップとなりました。とても速いですね。
続く2位は「東武トップツアーズ」の1.43秒、3位は「JTB」の2.57秒でした。
当社推奨表示速度2秒以内を達成したのは、ランキング2位の「東武トップツアーズ」までとなります。

トップページと同様に、Visually Complet値、Dom Interactive値の計測を行いました。
こちらも、いずれの推奨値もクリアーしたサイトはありませんでした。
商品一覧ページは、コンテンツ量だけでなく表示件数によっても表示速度が劣化しがちです。これらを意識したサイト作りを行えているかがパフォーマンス結果に表れやすく、サイト全体のパフォーマンス状態をうかがえるページといえます。
Visually Complete値は1.5秒以内、Dom Interactive値は1.2秒以内が、目標値となりそうです。今回は、「名鉄観光サービス」、「東武トップツアーズ」の2サイトが合格といえるでしょう。

商品一覧の計測でも「阪急交通社」に、ユーザ体験を大きく損なう定常的なパフォーマンス遅延がみられました。トップページ同様、3つの指標全てで推奨値を大きく下回っており、特にサーバーサイドのパフォーマンス状況の一早い検証・改善が必要です。

下記は、表示速度の時系列パフォーマンスチャートです。「阪急交通社」は、表示速度の安定性を欠くだけでなく、常に表示に10秒以上要している状態です。

時系列パフォーマンスチャート(表示速度)
10秒を超える阪急交通社のベースライン [ 表示速度パフォーマンスチャート ]

ページ読み込みに3秒以上かかると訪問者の53%が離脱と先述しました。
10秒以上かかった際の離脱率は公にはされていませんが、ページ遷移を繰り返しながら商品詳細へアクセスする一覧ページにて、常に10秒以上かかる場合のビジネスへの影響の大きさは想像に容易いところと考えます。
一刻も早い、検証と対策をお勧めします。

国内旅行PCサイト「商品一覧ページ」パフォーマンスランキング[2020年9月 計測結果]

国内旅行PCサイト「商品一覧ページ」のパフォーマンスランキング [2020年9月]
RANK

サービス名

表示速度
(秒)
Visually
Complete
(秒)

DOM
Interactive
(秒)

稼働率
(%)
1位 名鉄観光サービス 0.87 0.82 0.54 100
2位 東武トップツアーズ 1.43 1.27 1.06 100
3位 JTB 2.57 1.32 1.20 100
4位 じゃらん 3.05 3.02 2.27 100
5位 日本旅行 3.06 2.55 1.76 100
6位 エイチ・アイ・エス 3.23 1.61 0.54 100
7位 楽天トラベル 3.58 1.03 0.55 100
8位 JALパック 3.63 3.04 0.15 100
9位 近畿日本ツーリスト 3.88 2.38 0.91 100
10位 ジェイアール東海ツアーズ 4.13 2.94 2.23 100
11位 阪急交通社 14.7 10.9 10.2 100

 

<測定条件>
測定期間:2020年9月25日14時 〜 9月28日10時までの約3日間
測定頻度:60分に1回
測定デバイス:PC(Desktop)
測定拠点:Tokyo (ap-northeast-1):AWS

重要度を増す、継続的なパフォーマンス監視

本結果は、サイトの優位性や利便性を保証するものではありませんが、一般的にサイト離脱の要因の一つとしてページ表示速度があげられます。
サイトパフォーマンスの劣化は顧客満足度低下をまねき、企業の収益性に直接の影響を及ぼします。
アクセスユーザへの良質なユーザ体験を維持するためにも、自社サイトのユーザ体験を知ることはますます重要となるでしょう。
継続的な、パフォーマンス監視、計測を実施してください。

各種お問い合わせやご要望は下記よりお願いいたします。

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